(3)日本海東縁部で発生する地震

新潟県の沖合から北の日本海東縁部では、最近規模の大きな地震が立て続けに発生している。これらの地震では地震動のほか、津波による被害が目立つ。震源域が陸域に近いため、非常に短時間で津波が沿岸に達する(詳細は4−1(3)参照)。中部地方では、1964年の新潟地震(M7.5)がこのタイプの地震であるとされている。

 最近、日本海東縁部にプレート境界があるとする説も出されている(2−4(3)や4−1(3)参照)。この説によると、このプレート境界の南への延長は、新潟県の中〜南部から富山湾付近にかけてのどこかから南へ下り、糸魚川−静岡構造線付近に沿ってほぼ南北に本州を横断し、駿河トラフや相模トラフにつながるものと考えられている{14}。また、このようなプレート境界はある程度の幅をもつとする考え方もある。

 なお、糸魚川の沖合付近から富山湾付近にかけては、ここで規模の大きな地震が発生したという明確な記録はない。現在のところ、日本海東縁部がプレート境界でなくても現象が説明できるという説もあり、結論を出すには到っていない{15}