この地震に伴って、房総半島から相模湾沿岸にかけての地域で、地面が最大約5m隆起{19}したと考えられている。隆起量は、房総半島の方が大きかったようである(図5−17)。房総半島には、この地震に伴う海岸の隆起によって作られたと考えられる海岸段丘がある。この段丘を含めて、海岸段丘は約6,000年間に4段作られており、過去にも元禄地震と同様に海岸を隆起させるような地震があったと考えられている{20}(図5−18、図5−19)。
元禄地震と1923年の関東地震はともに相模トラフ沿いで発生したM8程度の巨大地震である。被害の範囲や地殻変動の様子がよく似ているので、これらの地震が発生した場所は同じかごく近いと考えられている。ただし、房総半島の被害や地殻変動の大きさが元禄地震の方が大きいことや、元禄地震では津波が外房方面にもあったことから、元禄地震の方が関東地震より、房総半島側に震源域が広がっていたと考えられる。