相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震は、沈み込むフィリピン海プレートと陸側のプレートがその境界でずれ動くことにより発生するプレート間地震と、沈み込むフィリピン海プレートの内部で発生する地震に分けられる。
また、フィリピン海プレートの沈み込みに関係する地震は、関東地方の陸域のやや深いところでも発生しており、それについては、5−1(3)で説明する。
1)フィリピン海プレートの沈み込みによるプレート間地震
フィリピン海プレートの沈み込みによるプレート間地震としては、1923年の関東地震(M7.9:関東大地震と呼ぶこともある)や1703年の元禄地震(M7.9〜8.2)などのM8程度の地震が知られている。これらの地震は、震源域の一部が陸域にかかるくらいに陸域に近い場所で発生しており、規模も大きかったため、関東南部を中心に非常に強い地震動が生じ、家屋の倒壊やそれに伴う火災の発生などによって甚大な被害が生じた。また、このタイプの地震は、海底下の比較的浅いところで発生し、その断層運動による海底での地殻変動(隆起や沈降)で、大きな津波が発生し、沿岸部に大きな被害を及ぼすことがある。さらに、震源域が陸域に近いために、津波は地震発生直後に襲来する可能性がある。
2)沈み込むフィリピン海プレート内の地震
フィリピン海プレートは相模トラフから関東地方の下へ沈み込んでいるが、沈み込んだばかりの比較的浅いところのプレート内で発生した被害地震は知られていない。その延長の陸域のやや深いところで発生する地震については、5−1(3)で説明する。
フィリピン海プレート上に位置している伊豆半島は、陸側のプレートと同じような性質を持っているため、陸側のプレートの下に沈み込めず、日本列島に衝突するような形になっている。このため、伊豆半島や神奈川県西部などでは、力のかかり具合が複雑な状況となっており、地震活動などが活発である(神奈川県西部地域の地震の詳細は5−1(3)、5−3(8)参照、伊豆半島の地震の詳細は、6−1(2)、6−2(6)参照)。