(2)1968年十勝沖地震(1968年5月16日、M7.9)
十勝沖地震は、青森県東方沖の広い範囲を震源域として発生したプレート間地震である。東北地方の北部や北海道南部を中心に広い範囲で強い地震動が生じ、東北地方では、青森市、八戸市で震度5が観測された(図4−14)。津波も発生し、津波の高さは最大で6mくらいの高さに達した場所もあったが、ちょうど干潮時にあたったため、津波による被害はそれほど大きくならずにすんだ(図4−15)。全体として、死者52名{17}などの被害が生じ、特に青森県での死者は47名{18}であった。被害の主な原因は崖崩れや地すべり、家屋の倒壊などであり、火山堆積物のある丘陵地、埋立地や低湿地などの地盤がやわらかいところで被害が大きかった(図4−16、図4−17)。青森県東部では前日までの3日間に、ところによっては 200ミリ以上の雨が降っており、地盤がゆるんでいたことも関係している{19}と考えられている。 この地震の余震活動の中で、特に本震約12時間後(5月16日)のM7.5(最大余震)、6月12日のM7.2は規模の大きな余震であり、東北北部から北海道南部にかけての広い範囲で震度4が観測された。特に、5月16日の最大余震では、北海道南部の浦河町、広尾町で震度5が観測された。余震回数は、6月12日の余震で一時増加したが、順調に減少した(図4−18)。
なお、1968年の十勝沖地震の北東側に隣接した海域では、1952年の十勝沖地震(M8.2)が発生している。