(3)平成5年(1993年)北海道南西沖地震(1993年7月12日、M7.8)
北海道南西沖地震は、日本海東縁部の地震であり、渡島半島中央部の西の海域で奥尻島のある奥尻海嶺と日本海盆の境にある水深3000mの等深線に沿うように、ほぼ南北に広がった領域を震源域として発生した。この地震では、寿都町、江差町、小樽市、青森県深浦町で震度5が観測された(図3−13)が、震源域が奥尻島や渡島半島西岸に近かったため、地震発生後4〜5分で津波が押し寄せた{18}とされており、多くの人が犠牲となった。現地調査によると、津波の高さは、奥尻島で最大約30mに、渡島半島の西岸でも最大7〜8mに達した(図3−14)。特に、奥尻島の青苗地区では、津波と地震後に発生した火災によって市街地が壊滅的な被害を受けた(図3−15)。さらに、渡島半島の地盤が軟弱な地域などでは、地盤の液状化現象や亀裂などによる被害が生じた。被害は全体で死者・行方不明者230名(青森県での死者1名を含む)、負傷者323名など{19}であった。 北海道南西沖地震に伴って、奥尻島は数十cmから1m以上沈降した(図3−16)。しかし、地形学的調査の結果からは、これまでこの島は隆起してきたことが分かっている{20}。これまでの隆起が地震によるものと考えると、今回の沈降との関係の解明は今後の課題である。
余震回数は順調に減少した(図3−17)。最大余震(M6.5)は、同年8月8日に本震の震源域の東側の震源域から少し離れたところで発生した(図3−18)。