(1)十勝沖地震(1952年3月4日、M8.2)
十勝沖地震は、十勝沖の広い範囲を震源域とするプレート間地震である。この地震では、特に十勝支庁と日高支庁の沿岸地域で地震動が大きく、震度6の地点が池田、浦幌など6町に、震度5の地点が浦河、厚岸、広尾などの2市5町村に及んだ(図3−6)。地震動による被害は十勝川下流域の低湿な地域で著しかった(図3−7)が、釧路町昆布森から東の沿岸では津波による被害も大きかった(図3−8)。津波の高さは厚岸町厚岸で6.5m、同霧多布で約3m{14}であった。この津波では、押し寄せた沿岸の海氷が家を壊したために、被害が大きくなった。被害は、北海道の太平洋沿岸地域を中心に大きく、全体では死者・行方不明者33名{15}などであった。また、道路、鉄道などの交通関係施設や電力、電話などのライフラインにも大きな被害が生じた。 余震回数は順調に減少し、3月末には有感の余震がほとんど発生しなくなった(図3−9)。なお、3月10日にM6.8の最大余震が発生し、本震の被災地に小被害を及ぼした。