(4)日高山脈南部の地震
日高山脈南部の太平洋側沖合では、海溝の延びる方向がほぼ南北方向(日本海溝)から北東−南西方向(千島海溝)へと折れ曲がっている。このような海溝の折れ曲がりにより、沈み込む太平洋プレートも折れ曲がり、地下では大きく変形していると考えられている{12}。また、千島海溝では、太平洋プレートが斜め方向に沈み込んでいるため、陸側の地殻が西の方向に引きずられ、日高山脈南部で北海道南西部の地殻と衝突していると考えられている{13}。このように、日高山脈南部から浦河沖にかけては、プレートの折れ曲がりによる大きな変形と特異な地下構造、斜め方向の沈み込みに伴う地殻の衝突などにより、歪が大きくなるため、地震活動の活発な地域になっている。 この地域では、1982年の浦河沖地震(M7.1)、1970年の日高山脈の地震(M6.7)などの比較的規模の大きな地震が発生している。これらの地震は、通常の陸域の浅い地震(深さ約20km以浅)に比べて、やや深いところ(深さ20〜40km)で発生しているため、被害がやや軽減される傾向にある。さらに、それより深いところでも、太平洋プレートの沈み込みに直接関係した地震が多数発生している。