大磯の完新世海成段丘群は約6000年以降に3面が段丘化しているが、曽我原のトレンチ調査から国府津−松田断層の活動間隔は970〜2150年と計算され、段丘化の成因が国府津−松田断層の活動によるとすれば、本地域では3〜5面の段丘面の形成が期待される。トレンチ調査から国府津−松田断層の最新活動時期はAD1100〜AD1350年頃であり、この年代は押切面の段丘化の推定年代と矛盾しないようにみえる。1つ前の活動時期はBC800〜AD130年で、前川面の推定年代(約3000年前)より明らかに若くなる。
このように国府津−松田断層の活動が必ずしも海成段丘の年代と対応しているとは言い切れず、海成段丘の段丘化間隔のほうが少し長いようにも見える。大磯丘陵における完新世海成段丘群の成因についてはさらに検討が必要である。