6−4 完新世海成段丘ピット調査のまとめ

前川面では海成砂層を覆う風成砂層中より天城カワゴ平パミス(Kg)が、火山灰層最下部から湯船第1スコリアが検出されたことから、前川面の段丘化の年代は約3000年前と推定される。遠藤ほか(1979)は段丘化年代を火山灰層序から4500〜4000年前前後で、遅くとも富士砂沢スコリア(F−Zn)より前としており、本調査結果と矛盾しない。

押切面では表土直下の砂礫層に挟在する腐植質シルトの補正14C年代が990±90y.B.P.であることから、段丘化の年代は1000年前頃と推定される。太田ほか(1982)は押切面を構成する砂礫層を覆う土壌の14C 年代と出土した土器の年代から、段丘化の年代を約1200〜1000年前としており、本調査結果と調和的である。

各段丘面の段丘化の年代に関しては、既往調査によって推定された形成年代をさらに限定することができたが、各段丘とも数が限られたデータなので、確実な段丘化の年代を明らかにするためには、今後の十分なデータの集積が必要である。