5−2−5 W層

W層は低崖の東側では、暗褐色を呈する砂混じり腐植質シルト、低崖の西側では、スコリア、パミスの薄層が挟在する腐植質シルト・シルト、細粒砂であり、層相の側方変化が著しい。

東側の砂混じり腐植質シルトはトレンチ壁面のS5、N5より東側とボーリングTd−1で確認できる。層厚は約1.6mである。層理は認められない。砂は粗粒砂サイズで、ごく稀に細礫が混じる。未分解の植物片、スコリアが多く混じる。

西側のスコリア、パミスの薄層が挟在する腐植質シルト・シルトはボーリングTd−2、Td−3で確認され、ボーリングTd−2では淘汰の良い細粒砂が挟在する。

西側のトレンチS15、N15付近で掘削されたボーリングTd−3では、標高13.72m〜13.59mに層厚13cmのスコリアがみられ、細粒砂〜粗粒砂サイズで正級化を示す。腐植質シルト〜シルト層中にはスコリアが点在する部分も認められる。

最も平野側で掘削されたボーリングTd−2では、F−Znより下位に5層のスコリア層と1層のパミス層が腐植質シルト・シルト層中に挟在する。それらの標高(深度)、層厚、スコリアの直径等は上位のものより次の通りである。標高13.29m〜13.23m(深度4.15m〜4.21m)では層厚6cm、直径3mm〜5mm、最大径8mmのスコリアである。標高12.95m〜12.91m(深度4.49m〜4.53m)では層厚4cm、直径1mm〜2mmのスコリアである。標高12.88m〜12.85m(深度4.56m〜4.59m)では層厚3cm、直径3mm〜5mmのスコリアである。標高12.76m〜12.74m(深度4.68m〜4.70m)では層厚2cm、直径1mm程度のスコリアである。標高12.09m〜12.03m(深度12.09m〜12.03m)では層厚6cm、直径1mm〜5mm、最大径8mmのスコリアで、下部に粗粒なスコリアが濃集する。また、標高13.00m(深度4.44m)ではパミスの薄層が腐植質シルト層中に挟在する。パミスは灰白色を呈し、細粒砂サイズである。このパミスは層位・層相から天城カワゴ平パミス(Kg:約2900年前)に対比される。

W層基底の高度は、低崖の西側のトレンチN15付近で掘削されたTd−3で標高12.22m(深度5.37m)、最も平野側で掘削されたボーリングTd−2で標高9.21m(深度8.23m)となり、W層の基底面は12°程度で西傾斜となる。