5−2−4 V層

V層は西側(平野側)に傾斜する腐植質シルト・シルト互層からなる。トレンチ壁面ではS9、N9より東側で確認され、その西側ではトレンチ底以深となり、ボーリングTd−2、Td−3で確認される。層厚は最大約1mである。

トレンチで確認できるV層頂部には、層厚5cm前後の灰白色を呈するシルトがみられる。その下位には層厚10cm前後のスコリアが挟在する腐植質シルト・シルト層がみられる。スコリアは黒褐色を呈し発泡度は低い。直径は1mm〜2mm程度で正級化構造(下から上へ粗粒〜細粒になっている)を示す。このスコリアは層位・層相から富士砂沢スコリア(F−Zn:2500〜2800年前;町田・新井,1992)に対比される。珪藻分析の結果、F−Znを挟む腐植質シルト・シルト層中から沼沢湿地の環境を示すものが検出された(試料K8,K9)。

このスコリアを挟む腐植質シルト・シルト層は、ボーリングTd−2、Td−3でも確認され、西側(平野側)に向かって2°〜4°傾斜しているが、トレンチ南側壁面の東側(S3付近)では、下位のW層にアバットしている。