5−2−2 T層

T層は上位から腐植質の砂質シルトからなるTa層、砂・シルト互層からなるTb層に細分される。層厚は最大約1.2mである。

Ta層は低崖の東側では暗褐色を呈する腐植質砂質シルトからなる。西側では暗灰色を呈する腐植質砂質シルトと赤褐色を呈する直径2mm前後のスコリアとの互層からなる。珪藻分析の結果、低崖の西側の腐植質砂質シルト中(S16−S17)から沼沢湿地の環境を示すものが検出された(試料K6、K7)。

Tb層は灰褐色〜青灰色を呈する砂・シルト互層からなり、連続性の良い腐植質シルトの薄層が複数挟在する。低崖の西側で砂層はうねりながら、層厚が厚くなったり薄くなったりする。砂層は細粒砂〜粗粒砂で、西側に向かって粒径が大きくなる傾向がみられる。低崖の東側では、Ta層とTb層との境界において、下位のTb層が上位に向かって絞り出された痕跡が多数認められる(S1−S7、N3−N4)。低崖の西側で砂・シルト互層内に認められる不規則なうねりは、その形状から液状化の跡と考えられる。(S12−S18、N13−N18)

Tb層最上部の腐植質シルト(S6−S7)から得られた14C年代は2370±60y.B.P.(BC760−640、BC560−370)である。

珪藻分析の結果、シルト層中(S5、S16−S17)から河川性の環境を示すものが検出され(試料K3〜5、K13、K14)、このうち低崖の西側のもの(試料K3〜5)は汽水種を伴う。

Tb層は3〜5°西傾斜し、トレンチ東側に向かって薄くなり、下位のV層にアバットする(S1)。T層は最も平野側で掘削されたボーリングTd−2の標高16.44m〜15.63m(深度1.00m〜1.81m)に認められ、トレンチの西側(平野側)では、T層はほぼ水平に堆積している。