4−5−3 1つ前の断層活動時期
トレンチおよびボーリングではH2相上面の上下変位量が約3.3mを示し、最新活動の上下変位量(約1.6m)のほぼ2倍であること(図4−11)、トレンチでは最新活動のみを受けているC層とD層は断層低下側だけに存在することから、1つ前の断層活動は落差を生じさせ、それらを堆積させる地変が必要なことから認定できる。仮にC層、D層を堆積させる斜面が河川などの侵食によって形成されたのであれば、その河川に対応した礫層がD層より下に存在するはずであるが、それは認められない。したがって、C層、D層の堆積を生じさせた要因は断層運動による低下と考えられる。ボーリングおよびトレンチ調査結果では、H1相の層厚は断層の隆起側と低下側でほぼ同じであることから、1つ前の断層活動は少なくともH2相より後でD層より前になる。D層の14C暦年較正年代はBC40〜AD130、H2相の14C暦年較正年代はBC800〜750、BC700〜BC540であることから、1つ前の断層活動時期は14C暦年較正年代でBC800〜AD130になる。