このように14C暦年較正年代が考古遺物、古文書などによる歴史年代より100年〜400年程度古くなる例は、桜島火山の噴出物でも知られている(奥野,1997)。桜島の場合、AD1471年(古文書による文明の噴火)の火山灰に対応する3つの土壌の14C暦年較正年代は、@AD1282−1313、1334−1394、AAD1275−1310、1335−1393、B1032−1171であり、いずれもAD1471年より古く、歴史年代と14C暦年較正年代とのずれの範囲は439年〜77年である。
一方、曽我原トレンチのB1相、C−D層、C層から、6つの考古遺物が出土している。これらは各地層が連続して堆積する地点から出土しており、上位の地層から混入したとは考えにくい。以上から、曽我原地点の最新活動時期として14C暦年較正年代よりも考古学的年代を採用する。この場合、最新活動時期はAD1100年〜AD1350年頃となる。