3−7 生沢断層系と小向断層

大磯丘陵南東部の高麗山と鷹取山との間にはNE−SW方向に延びる生沢の谷があり、これに沿って生沢断層系あるいは生沢撓曲崖、生沢構造線が記載されており、相模湾の二宮海底谷に連続すると解釈されている(Kaneko,1971;関東第四紀研究会,1987;伊藤ほか,1988)。関東第四紀研究会(1987)によれば、生沢断層系は両側で基盤岩の岩質が大きく異なること、両側に分布する吉沢面(12〜13万年前)が生沢の谷に向かって傾斜していること、二宮層や多摩期の砂礫層を切る断層露頭が存在することから活断層が想定されている。活断層研究会(1991)は関東第四紀研究会(1987)などの文献情報から活断層を認定しており、確実度T〜U、活動度A〜C級、長さ5kmとしている。活動度A級の根拠は、生沢にある2万年前の段丘崖を基準とした1000m左横ずれである。生沢断層系は地形的にはあまり明瞭でなく、活断層研究会(1980)や東郷ほか(1996)の都市圏活断層図「平塚」では活断層は示されていない。生沢断層系の正確な位置に関しては、活断層研究会(1991)が示した20万分の1地勢図を基図とした分布図より大縮尺のものはない。

小向断層は高麗山の北側にE−W方向、長さ3kmで示され、吉沢面を変位させている(Kaneko,1971,町田,1973)。この断層は地形的に明瞭で、活断層研究会(1980,1991)、東郷ほか(1996)の都市圏活断層図「平塚」に図示されている。活動度A級の根拠は吉沢面の変位量(南側隆起120m)にある