2−2−6 重力探査精査

(重力探査精査データ)

 図2−2−21に、重力探査精査の範囲を示す。また、図2−2−22に重力測定点配置および周辺地形を示す。図2−2−23に、重力探査測線を反射法探査測線とともに示す。重力測定点は、1524点である。

(データ処理および解析)

 図2−2−24は、新たに得られた重力データから描いたブーゲー異常分布である。この際、ブーゲー密度は、地形と重力分布(ここでは、フィルター処理後の短波長成分重力分布)との相関が最も小さくなる密度として、1.8gr/c‰を採用した(図2−2−25参照)。図2−2−26は、オリジナルのブーゲー異常分布のフーリエスペクトルである。広域重力解析のときと同様に、このスペクトルの分析・フィルターテストを通じて最適のフィルター特性を決定した。その結果を図2−2−27に示す。最適フィルター処理をを施した後の重力分布鳥瞰図を図2−2−28に示す。

(結果)

 各波長成分毎のフィルター処理結果を図2−2−32に示す。

図2−2−29 トレンド成分重力分布

広域重力解析結果の長波長成分に対応する成分であり、主に関東地方全体といった大規模な基盤構造に起因する成分と考えられる。

図2−2−30 長波長成分重力分布

広域重力解析結果の短波長成分に対応する成分であり、主に、基盤構造の細かな起伏、あるいは、基盤の上位置(三浦層群)中の密度異常に対応する成分と考えられる。  

図2−2−31 短波長成分重力分布

この成分は、広域重力解析では、ノイズ成分の波長領域に属するものであり、深度は、概ね1000m程度以浅(概ね上総層群中)の密度構造異常を反映するものであると考えられる。

図2−2−32 ノイズ成分重力分布

ノイズ成分は、地表付近の不均質な密度構造異常や測定誤差などによる波長が短く振幅スペクトルが小さく、かつ、ほとんどホワイトスペクトルとみなせる成分である。

ノイズ成分の振幅は、大部分が絶対値50μGalの範囲に納まっており、上記の各3成分は有意であることがわかる。

 なお、巻末には、本重力探査精査で得られた総合成果表を巻末資料2−2−1として添付する。