W面のR3付近〜E面のL3付近にかけて観察される断層は、図4−2−3、表4−2−3、表4−2−5に示すように、D層内での花粉分析(P−19)、E層内の放射性炭素測定結果(KK−6)から7,000〜2,080±50年前の間に最終活動があったものと考えられる。D層内でのP−19の採取地点がD層中位であることから最終活動時期は7,000年前以降である可能性が高いと考えられる。
W面のL1付近〜E面のR1にかけての断層には断層粘土内に炭化木が認められ、これは、イベント時に断層内にとり込まれたものと考えられる。この炭化木から採取した試料(KK−3)から、29,450±190年前の年代を測定しており、このことは、29,450±190年前以降に1つのイベントがあったことが推定される。また、断層粘土が盛り上がり@層A層B層に変位を与えているように観察され、7,000〜2,080±50年前の間のイベント時の変位であると推定される。
以上から、本トレンチでは、2回のイベント(29,450±190〜12,000年前、7,000〜2,080±50年前)を確認していると考えられる。
上岡枝下流地区では、図4−2−3、図4−2−5に示すように断層面で条線を確認しており、その方向はSE42°方向に15°E落ちである。
鉛直変位量(Dv)と条線の方向から実変位量(net slip)D、水平変位量(Dh)を計算すると以下のようになる(図4−1−14)。
D=0.41/sin15°=1.58(m)
Dh=0.41/tan15°=1.53(m)
表4−2−6に上岡枝下流地区の変位量を示す。