4−1−4 断層の活動性

図4−1−11にトレンチN面におけるB層〜J層の傾斜角変化を示す。傾斜角は各グリッド毎に測定している。図から全体的に傾斜は5度以下が大部分であるが、一部に10度近くのものがある。C層のみはN面L7〜L9間で10度以上となり、特にN面L7付近では20度に達する。断層はN面ではL6〜L7に確認されており、C層では断層から川側で傾斜が急になる傾向となる。また、D層(姶良Tnテフラ(AT))については、トレンチ展開図では消失して記載されていないが、溝堀掘削中にN面L7付近で傾斜が20度前後になっていることが確認されている。

図4−1−12にボーリングNo.1−5とトレンチN面断面図を、図4−1−13にトレンチN面のセンター(C)とボーリングNo.1−5での各層(B層〜K層)の高度差を示す。図よりE層より上方では地層の高度差が120cm前後であるのに対し、C層では170cmと大きな傾向を示す。

以上からD層までは断層による変位を受けていると考えられる。その場合、年代測定結果から、25,500〜25,000年前後にイベントがあったものと考えられる。

図4−1−13から、下保木地区での鉛直変位は約50cmと推定される。

断層面に条線を確認しており、その方向は、N56°W方向で22°NW落ちとなる。

図4−1−14に示すように、鉛直変位量(Dv)と条線の方向から実変位量(net slip)D、水平変位量(Dh)を計算すると以下の様になる。

D=0.5/sin22°=1.33(m)

Dh=0.5/tan22°=1.24(m)

表4−1−6に下保木地区の変位量を示す。