5−6−4 比抵抗映像法解析結果

測定は図5−6−2に示した測線において、測線長190m、電極間隔2m、探査深度30mで実施した。

比抵抗の各解析過程の図を図5−6−8に示す。図は上から

@見掛比抵抗図(測定データ)

A見掛比抵抗図(遠電極、地形、感度補正後)

B連続1次元連続解析結果図

C2次元FEM追加解析結果図

を示す。

@は測定データを表している。見掛比抵抗断面では真の比抵抗構造を表現してはいないが、大まかな比抵抗構造を表現していると言える。図よりいくつかの特徴が読みとれる。

全体的に比抵抗は平均化しており、比抵抗構造にあまり顕著の差は認められないが、距離程0〜80m、標高−10〜−20m付近がやや低比抵抗となっていることが解る。また、全体的にややばらついた比抵抗構造になっている。

Aは補正後の見掛比抵抗断面である。@で見られた、孤立した構造が減少し、なめらかな構造になっている。また、@で見られた低比抵抗帯の境界もなめらかになっている。

Bは1次元の解析結果である。解析はリニアフィルター法で行った。1次元解析では深度方向の比抵抗構造を地点ごとに解析して行く。このため、左右の比抵抗構造の連続性の精度がやや悪くなる傾向にある。図においても比抵抗の縦構造が見られる。見掛比抵抗図で見られた、低比抵抗構造の上面の境界深度は標高−10mから約0mに上昇し、比抵抗のコントラストも大きくなり、より鮮明になっている。 

Cは2次元のFEMの追加解析結果である。Bで見られた、縦(深度)方向の比抵抗の乱れが減少し、よりスムーズな結果図となっていることがわかる。

以下にCの解析結果から読みとれる特徴についてまとめる。 

(a)解析された比抵抗は概ね40Ω・m〜500Ω・m程度と萩ヶ台地区と同様な値を示す。

(b)解析された比抵抗は距離程80m付近で大きく変化し、測線の前半(南西)では低比抵抗(比抵抗では100Ω・m以下)、後半(北東)では高比抵抗(比抵抗で100Ω・m以上)となっている。この違いは周辺の地質状況から判断して基盤の地質の違いを反映していると考えられる。つまり、距離程80mを境に、南西部に豊浦層群の頁岩・砂岩(低比抵抗)が分布し、北東部では花崗岩(高比抵抗)が分布していると推定される。

(c)測線前半部の基盤岩であると推定される豊浦層群までの深度は解析結果図より10m程度(標高0m)であると推定される。また、測線の後半(距離程90m以降)の基盤である花崗岩までの深度は残念ながら比抵抗の結果からは判断できない。