5−5−3 比抵抗映像法解析結果

測定は図5−5−1に示した測線において、測線長500m、電極間隔1m、探査深度15mで実施した。

比抵抗の各解析過程の図を図5−5−6に示す。図は上図から

@見掛比抵抗図(測定データ)

A見掛比抵抗図(遠電極、地形、感度補正後)

B連続1次元連続解析結果図

C2次元FEM追加解析結果図

を示す。

@は測定データを表している。見掛比抵抗断面では真の比抵抗構造を表現してはいないが、大まかな比抵抗構造を表現していると言える。図よりいくつかの特徴が読みとれる。

全体的に比抵抗は平均化しており、比抵抗構造にあまり顕著の差は認められないが、距離程200〜340m、標高40m以深ではやや低比抵抗構造が現れている。また、地形の変化の大きな箇所(距離程200,300など)ではその下の比抵抗分布が「ハ」の字型をした特徴的な比抵抗パターンを示している。これは、地形の影響が測定データに含まれているものを表現していると思われる。

Aは補正後の見掛比抵抗断面である。全体的になめらかな構造になっている。また、@で見られた、「ハ」の字型の比抵抗構造が補正されていることが良くわかる。

Bは1次元の解析結果である。解析はリニアフィルター法で行った。1次元解析では深度方向の比抵抗構造を地点ごとに解析して行く。このため、左右の比抵抗構造の連続性の精度がやや悪くなる傾向にある。図においても比抵抗の縦構造が見られる。見掛比抵抗図で見られた、低比抵抗構造の上面の境界深度は標高40mから約45mに上昇し、比抵抗のコントラストも大きくなり、より鮮明になっている。 

Cは2次元のFEMの追加解析結果であり、最終的な結果図である。Bで見られた、縦(深度)方向の比抵抗の乱れが減少し、よりなめらかな構造になっている。図より@,Aの見掛比抵抗で見られた低比抵抗帯は250m〜330mの範囲においてより低比抵抗で顕著なものとなった。

以下に解析結果図から読みとれる特徴をまとめる。

(a)解析された比抵抗は概ね40Ω・m〜500Ω・m程度であり、表層から深部に従って低比抵抗となっている。

(b)距離程180〜340mにわたり低比抵抗帯が分布する。特に250〜330m間では比抵抗値が50Ω・m以下の低比抵抗となっている。この区間は航空写真等から推定されるリニアメントの位置とほぼ一致している。

(c)b.の区間での表層の高比抵抗部の層厚は3m〜5m程度であり、比抵抗は深度方向に明瞭に2層に区分されている。このことからこの間での基盤(豊浦層群)深度は概ね3m〜5m程度であると推定される。