図5−5−2は解析範囲の地形および測定点を示す。解析範囲は推定される菊川断層の中部域に位置し、既存のトレンチ調査も実施されている。探査範囲は断層の推定位置から、両側に約1000m〜2000mの範囲で実施し、推定されている断層の位置を捉える目的で実施した。なお、測定点間隔は約100m〜300mとし、約200点の測定を実施した。
図5−5−3のブーゲ異常分布(短波長〜長波長までのすべての成分を含む重力分布)では北西部が高重力異常、南東部は低重力異常の傾向を示す。この傾向は既往の広域重力データ解析の結果(図1−2−6,図1−2−7,図1−2−8,図1−2−9,図1−2−10,図1−2−11)と調和的である。これは北部には古生代〜中生代の堆積岩類が分布し、南部には新生代第四紀の未固結堆積物が厚く分布していることによると考えられる。
図5−5−4は短波長成分重力分布(深度300m程度以浅の浅部構造を反映)を示す。北西−南東方向(図ではほぼ水平方向に2本)に低重力(重力の谷構造)の帯が2条認められる。
図5−5−5は長波長成分重力分布(深度300m以深の基盤構造を反映)を示す。北西部が高重力、南東部は低重力の傾向を示す。この傾向は深部の地下構造(基盤構造)を反映したものと考えられる。ここで、短波長成分重力分布に認められる2条の低重力の帯の内、南西側の低重力異常帯は,長波数成分でも低重力異常となっていることから地下構造を反映したものと考えられ、断層の破砕帯等を捉えている可能性が高い。