(9)豊浦層群

頁岩層と上部の砂岩および砂岩頁岩互層には、層理面の走向にほぼ調和的な褶曲軸が発達する。歌野ダム出口周辺の頁岩層には、東北東−西南西方向の背斜軸と向斜軸が、直線距離で約100mの間に1本づつ形成されている。これらの褶曲軸はともに西北西方向へ緩やかに傾いている。

藤内畑地区に分布する砂岩頁岩互層には、層理面と調和的な走向を持つ背斜軸と向斜軸が、直線距離で約100mの間にそれぞれ1本づつ形成されている。これらの褶曲軸は北東方向へ傾斜している。また、その周囲の互層のうち、山地斜面と沖積低地の境界付近に露出するものには、北西−南東方向の背斜軸が4地点で確認された。

これらは、後述するように、大規模な断層活動に伴って形成されたものと思われる。

互層中には、さらに、上岡枝地区から北東方の歌野川にかけて、その延長が800mを超える向斜軸が存在する。この褶曲軸は直線的に連続せず、山頂付近(延長の中程)で屈曲している(左横ずれ)。その屈局部の砂岩頁岩互層は、幅約10mにわたって露出が欠如していることから、破砕帯を形成していた可能性が高い。

豊浦層群の分布北縁の砂岩層にも層理面と調和的な背斜軸の存在が推定されるが、閃緑岩体が貫入し、その軸部の正確な位置は把握できなかった。