@片理
長門構造帯の低温高圧結晶片岩には、片理面が発達する。確認された片理面の走向・傾斜は、N35E、30°SEである。調査地の北東方(豊ヶ岳周辺)には、この結晶片岩の延長が分布し、その構造が良く研究されている。文献によれば、結晶片岩にはN30〜45°E走向、20〜60°SW傾斜の片理面が発達している(例えば、椛島ほか、1993)。
A節理
広島花崗岩類の閃緑岩・黒雲母花崗岩、および脈岩類の石英斑岩には、岩体の冷却に伴う割れ目(節理)が発達している。
広島花崗岩類のうち閃緑岩は、他の貫入岩類に比べ節理の保存状態が良くない。風化を強く受けてマサ化していたり、分布が山頂周辺にあることから、露頭として保存されにくく、転石として露出していることが多い。わずかに計測できた節理面は、EW、75°Nの走向・傾斜を示す。これは、母岩の層理面と調和的な走向・傾斜を示している。
黒雲母花崗岩には、露出状況が良好なものがいくつか見られ、岩石の構造が識別できる。節理には、北西−南東方向と、これにほぼ直交する北東−南西方向の2系統が卓越する。いずれも高角度の傾斜をもつ。中組および下組地区の沖積低地付近の黒雲母花崗岩には、特に北西−南東方向の節理が発達する。その走向・傾斜は、概ねN20〜40°W、80〜85°NEである。
石英斑岩には、N70〜80°W、40〜50°Sの走向・傾斜を示す節理が最も良く発達する。
C褶曲
先第三系には、多数の褶曲構造が発達している。そのうち、豊浦層群および関門層群の脇野・下関亜層群中には、波長が100mを超える中〜大規模な褶曲構造が認められる。