(13)北西−南東系の断層(菊川断層方向)
貴飯峠南側から大藤にかけて分布する関門層群の脇野亜層群と下関亜層群の境界には、北西−南東走向で、高角度の傾斜をもつ断層が形成されている。貴飯峠東側の沢沿いに断層露頭が確認された。この断層の北西側に分布するデイサイト質凝灰岩には、断層の形成に伴われた変形構造が認められる。デイサイト質凝灰岩の一般的な流理面は、30°前後で南西へ傾斜しているが、断層に向かって徐々に角度を増し、さらに断層の約10m手前から急激にその傾斜が大きくなる。走向も西北西−東南東方向から、断層の手前ではほぼ北西−南東方向に漸移する。小規模な北西−南東系の断層は、長門構造帯の弱変成堆積岩類(豊東層群)と黒雲母花崗岩中にも、その断層露頭が確認された。いずれも木屋川の北側の山地斜面と沖積低地の境界近くに発達している。
下関市三町において、菊川断層の派生断層と考えられる断層を確認した。この断層は、花崗岩と長門構造帯を境とする断層と判断され、長門構造帯中に幅数m以上の破砕帯を確認した。