(1)処理法

(a)試料採取

試料は、風化の影響のない新鮮なシルト質および泥質堆積物からブロック状に採取された。1試料の大きさは、ほぼ握り拳大で、その重量は約200〜300gである。

(b)試料調整

ブロック状の試料の表面を削り、 現生の花粉が付着している可能性のない新鮮な面を取り出して分析に供した。

(c)水酸化カリウム(KHO)処理

水酸化カリウム溶液を使用して、試料中の有機物(フミン酸)を溶解する。これは、堆積物中の粒子と粒子を結合させているフミン酸を取り除くことで、花粉化石を抽出しやすくするためである。

(d)砂抜き

水簸法によって粒径の大きな粒子(砂)を沈降させ、取り除く。

(e)粘土鉱物除去

傾斜法を利用し粘土鉱物を含んだ上澄み液を除去する。

(f)重液分離

塩化亜鉛水溶液を利用し、シルト鉱物と花粉を分離する。花粉が浮き、鉱物は沈殿する。

(g)アセトリシス処理

無水酢酸と硫酸からつくるアセトリシス液を加えてセルロースを除去する。

(h)封入

残渣をグリセリンジェリーで、プレパラートに封入する。