(2)解析結果

図1−2−10の長波長成分の結果は、主に深度数km以深の基盤構造に対応した結果と考えられるので、断層との直接的な対比は難しい。よって、ここでは、図1−2−11の短波長成分の解析結果について検討する。

@.断層の走向と平行する顕著な重力分布は認められない。むしろ断層と斜交するNE−SW方向の高重力異常の尾根、または低重力の谷筋が認められる。

A.オリジナルのブーゲー異常図(図1−2−8)に認められる断層中央部を境とする北東側の高異常および南西側の低異常のパターンは、広域地質図と比較してみると、豊浦町付近に分布する花崗岩に対応した低重力域とその北東部に分布する下関亜層群上部層に対応した高重力域を反映した結果と考えられる。

B.同様に断層の南西側の延長部を横断するNE−SW方向の低重力も花崗岩の分布域とよく対応する。

C.以上から広域の重力解析結果は、おおむね地質と対応すると考えられる。

これらの結果から重力探査によって、基盤岩として広く分布する関門層群上部層の安山岩や豊浦層群の頁岩の分布を把握することは可能と判断できる。ただし、断層そのものの性状や活動性を議論するためには、さらに測定範囲を絞り込んだ上で、高密度な測定が必要と考える。