調査地域においては、表6−5−1示すようなA〜Eの5つの活動セグメントに区分されることが明らかとなった。
図7−1には、本調査によって明らかになった、各地点の断層活動履歴をまとめた。図中で矢印及び灰色に着色した範囲が断層の活動イベントの時期に相当する。また、各地点での変位基準面(ボーリングやトレンチによる地層名や地形面)を併記した。
これによれば、調査地域のほとんどの地区において完新世(10,000年前)以降の断層活動が確認された。調査地域は、西方山地からの河川による扇状地面が多数発達し、年代測定試料に乏しいという問題点があったため、完新世以降の複数回の活動イベントや活動間隔についての詳細は明らかにはならなかった。
しかし、セグメントB(長井盆地西縁)やセグメントC(米沢盆地)において、反射法探査や深尺のボーリング調査を実施した箇所では、明瞭な累積変位が認められたことから更新世後期以降、繰り返し活動した可能性は非常に高い。
平均変位速度は表6−3−1に示したとおり、セグメントA(五百川峡谷)で0.35〜0.47m/1,000y、セグメントB(長井盆地西縁)で0.30〜0.74m/1,000y、セグメントCの米沢盆地付近で0.17〜0.29m/1,000yが得られた。従って、調査地域の活断層の活動度は、一部を除いてほとんどがB級であることが明らかになった。
以下に、調査結果のまとめと今後の地震防災上施策のための検討課題について、セグメントAからセグメントCの順で記述する。セグメントDおよびEは、セグメントC背後の副次断層と考えられ、変位地形も不明瞭であることから、ここでは扱わないこととする。