図5−4−17に示すように、低位段丘L3面で調査を行った測線Aでは、約8,000〜9,500cal y.B.Pの暦年補正年代値が得られた。また、低位段丘L4面で調査を行った測線Bでは、約1,900cal y.B.Pの年代値が得られた。
図5−4−18においては、反射断面と、ボーリング及びトレンチ調査結果との対応が認められる。Ta1層はボーリングNo.4孔の深部においてのみ認められたが、この付近の反射面が東に急傾斜しており、断層運動によって傾動したものと推定される。また、上位層に比べ、急傾斜していることから累積変位を受けているものと推定される。Ta2層においても反射面の撓みや不連続などが随所に認められる。特に、撓曲帯の前面にあたるトレンチ1付近では、反射面の不連続が明瞭であり、トレンチ調査で確認された断層に対応するものと推定される。
扇状地性の砂礫であるTa2層の上面も撓曲により変形しており、変位量は2.1m程度と推定される。また、撓曲帯の幅はおよそ100mと推定される。Ta2層から約33,000y.B.Pの年代値が得られた(トレンチ1の試料)が、これは、砂礫層中に取り込まれた腐植質粘土ブロックの年代であり地層そのものの形成年代ではない。Ta2層には火山灰鍵層や腐植質粘土などの年代決定に有効な試料が存在しないことから、本層の詳細な形成年代は明らかにならなかった。