@ 平山地区の推定活断層周辺では広範囲で建材利用のための砂利の採取が、10m近い深さまで行われており、そのために今回のボーリング調査では砂利未採取の部分を選んで行っている。平山地区の現在の地表・地下は昭和以降の人工改変による影響が強く、現在の用水路や道路の整備においてかなりの地形改変(整備)が行われていると判断できる。推定活断層近傍において、断層崖の落差が断層による変位だけで形成されていると判断することはできない。
A これまでに細分した、L4−1、L4−2、L4−3面を、河川性堆積と複数回の断層活動の変遷として捉えるなら、示された地形面の分布にはいくつかの矛盾点がある。例えば、小坂地区で現在砂利採取を行っている場所で断面を観察すると、厚さ8mに達する一連の砂礫層が確認された。昨年度の報告でこの場所は地表面でL4−2に区分されていたが、下側により古いL4−1が分布するという解釈は難しい。
B 平山地区は水害に悩まされた歴史を記録しており、宝暦7年(1757)の洪水被害以降、130年間にも5回の洪水を被災している。1万年前以降の沖積世の間では、単純計算で300回以上の洪水が生じたことを意味し、僅かな高低差は絶えず新しい供給砂礫によって埋められたと考えられる。最新の地震によって地表にあらわれた断層崖も、その後の相次ぐ河川氾濫によってより平坦化していったであろう。平山が野川の扇状地の扇頂部として位置し、最上川に向かって扇状地堆積物による地形面を形成していると単純に考えると、この地区の地形面を細区分する必要は特にないものと考えられる。
C 一回の断層活動における変位は活断層にそって一様であるとは限らない。特に山地と平野部の境に位置する平山地区のような場所においては、基盤である中新統の分布する深度や、その上に堆積する砂礫堆積物の厚さの違いが、地表での変位の大小に影響するものと考えられる。
以上述べた理由から、今回は昨年度まで行ったL4面の細区分を修正し、単一にL4面として区別した。