以上の現場条件より、本地区ではまず初めに地表踏査(精査)を実施して変位地形の位置や形態を確認するとともに、周囲の地質状況、人工改変の程度を把握する。その後、新期の段丘面に変位を与え、トレンチ調査を含めた詳細調査に適した箇所において、浅層反射法探査(S波)、ボーリング調査を実施し、地下の地質構造の把握と年代測定試料の採取を行う。これらの調査結果をもとに、新期の堆積物に変位を与え、かつ、用地的に適切な箇所を選定し、トレンチ調査を行い完新世以降の断層運動を評価するものとする。
一方、本地区では他の地区に比べて、地形面の形成年代に関する資料に乏しいことから、断層の活動時期について詳細な議論が出来ない状況にあった。従って、変位した低位段丘面の形成年代を明らかにし、活動時期について評価するため、ボーリング調査を実施するものとした。ボーリングに際しては、短尺の簡易式打撃ボーリングを採用し、出来るだけ多くの地点で調査を行うものとした。
さらに、本地区の位置する米沢盆地の西縁部については、「新編 日本の活断層」(1991)には記載がなく、従来より活断層の活動性に関するデータや断層運動に起因する基盤の地質構造について詳細は明らかになっていない。そこで、平成13年度調査では、探査深度を数百mまでとし、基盤地質を含めた地質構造の把握と地表に現れる変位地形との関連を明らかにすることを目的として、浅層反射法探査(P波)を実施するものとした。