上述の空中写真判読・地表踏査結果をうけて、米沢市遠山地区においてボーリング調査を実施した。図4−4−1に本地区の詳細地形区分図を示す。本地区では、N−S方向に延びる撓曲崖や低断層崖が複数列発達しており、この方向に直交する方向にボーリング測線を設定した。断層による変位は低位段丘L3からL4面にかけて存在している。図4−4−2に本地区のボーリング断面図を示す。これによれば、約24,000年前の地層に断層運動による7mの垂直変位量が確認され、地質構造としては撓曲構造を呈することが明らかとなった。また、変位している低位段丘L4面の形成年代が約3,000〜6,000年前であることが年代測定により明らかになったことから、本地区において完新世以降の断層活動が示唆された。
しかし、遠山地区は、遺跡の指定地に非常に近接するため、継続調査としての物理探査やトレンチ調査に関しては用地的に困難であることが問題となった。
従って、最新活動時期などを明らかにするためには、トレンチ用地として適切な、周辺の他の地区を選定する必要が生じた。