4−3−2 長井市寺泉地区の調査方針

平成12年度調査により、長井盆地の北西部では、朝日山地からの河川によって扇状地が多数発達しているため、低位段丘面の変位地形が不明瞭であったり、粗粒堆積物に覆われることが明らかになった。従って、細粒堆積物が主体で、できるだけ多く年代測定試料が得られる地点を選定する必要が生じた。

長井市寺泉地区は、空中写真判読および地表踏査により、小河川(滝沢川)によって形成された沖積面に変位地形が存在することが明らかになった箇所である。この地区では、流入する河川が小規模であるため、調査測線を現河川の流路からやや南に設定すれば、細粒堆積物が確認される可能性が高い。以上のことから、寺泉地区を詳細調査地点に選定した。

調査方針としては、まず初めに地表踏査(精査)を実施し、地表における変位地形の位置や形態を確認するとともに、周囲の地質状況、人工改変の程度を把握する。その上でボーリング調査を行い、断層による変形構造の把握を行うものとする。また、ボーリングによって得られたコアの炭質物から試料を採取し、14C年代測定を実施する。得られた年代データをもとに、断層の活動性を評価するものとする。