平成12年度調査では、本地域の断層の走向は最上川とほぼ平行なNE−SWを主体とすることが明らかとなった。また、断層変位地形の最も大きな特徴は、場所により変位センスが異なり、地塁−地溝状を呈する箇所が認められることが明らかとなった。
朝日町赤釜−松程地区は、北西から流下する朝日川と最上川とが合流し、段丘面の発達が良い。また、変位地形も明瞭に認められることから、詳細地形区分図の作成と地形測量を行った。図4−2−1には平成12年度作成の本地区の詳細地形区分図を示す。この地区では、断層崖や撓曲崖が複数列配列し、それぞれの変位センスが異なり地塁−地溝状を呈する。また、古い地形面ほど変位量が大きいことから、変位の累積性が認められる。
調査結果により推定された北部地域の平均変位速度や最新活動時期は表4−1−1に示す通りである。平均変位速度は低位段丘L2面の変位量から0.35〜0.47m/1,000年が得られた。最新活動時期については変位している新期段丘面からの年代測定試料が得られなかったため不明である。また、本地域の断層の延長は約14kmと推定された。
北部地域の活断層に関する検討課題としては、隣接する断層帯である山形盆地断層帯や長井盆地西縁断層帯中部(長井盆地)との関連が挙げられる。変位センスが同一でなく、地塁−地溝状の構造をなすという事実は、山側隆起の逆断層センスが主体の山形県内の他の断層帯とは性状が異なることを示唆する。
また、この地域の基盤地質構造が中新統の褶曲により特徴付けられることも地表の変位形態に関係する可能性がある。
平成13年は詳細調査は実施しないが、上記の課題について検討する必要がある。