(1)米沢市舘山地区

米沢市舘山地区調査計画図(図6−5−7

米沢市舘山地区地形断面図(図6−5−8

1)来年度調査目的

米沢盆地西縁部における断層の活動履歴を求めるために次の調査を行う。地表踏査(精査)を実施し、低位段丘面(YL4面)において、浅層反射法探査(S波)、ボーリング調査、トレンチ調査を実施する。また米沢盆地西縁部における基盤構造及び活断層の地表部への連続性を確認する目的で浅層反射法探査(P波)を実施する。探査深度は200m程度とし、基盤面から上位の地層の変位量、各変位の累積性から、米沢盆地の活動度を検討する資料とする。さらに最新活動履歴および活動間隔を求めるため、低位段丘面(NL3,4面)および沖積面において年代測定の試料採取を目的としたボーリングを実施する。

2)調査計画数量およびその根拠

・計画数量:

地表踏査(精査) 2km2 、トレンチ調査 1箇所 20m×10m×深さ5m、

ボーリング調査 30m×2地点、15m×2地点、2m×6地点、

浅層反射法探査 測線長100m(S波)、測線長1000m(P波)

年代測定 30試料

・根  拠:

米沢市吹屋敷から遠山地区にかけて、低位段丘面(YL2面、YL3面、YL4面)に明瞭な断層崖が少なくとも2列認められ、遠山地区以南では崖錐堆積物に覆われて不明瞭となる。平成12年度に遠山地区で実施したボーリング調査によって、YL2面堆積物に変位が認められ、またYL4面堆積物から3000〜6000年前の年代値が得られた。また地表踏査の結果を合わせると、この地区のYL4面は断層による変位を受けている可能性が高いと考えられる。以上から、最終活動時期はYL4面形成後であると考えられる。より詳細に断層の活動度等を議論するためには、トレンチ調査をはじめとした一連の調査が必要であるが、遠山地区では国指定の遺跡分布範囲に隣接しており、トレンチ調査用地の設定が困難である。遠山地区北方の舘山地区では、トレンチ調査用地が確保可能であると考えられるため、トレンチ候補地に設定する。ただし、地形改変の影響等により断層変位地形は不明瞭であると考えられるため、事前に地表踏査(精査)において地形や地質を確認することが必要となる。さらにボーリング調査に先立って、浅層反射法探査で地下構造を把握することも重要である。それらの調査結果をもとにトレンチ調査位置を決定する。上位の2m程度は腐植土層、その下位には砂礫層ないし粘性土が挟在されると予想されるため、少なくとも5m程度のトレンチ深さが必要と思われる。また、撓曲をなしていることが予想されるため、連続性を確認するには広範囲の観察をする必要がある。

従って、掘削範囲は、断層線の横断方向に20mとし、断層線の方向に10mとする。

加えて、米沢盆地西縁部における基盤構造及び活断層の地表部への連続性を確認する目的で、探査深度が200m程度の浅層反射法探査(P波)とボーリング調査を実施する。本田(1983)は米沢盆地の基盤構造についてボーリング、物理探査から報告している。それによると、米沢盆地の基盤深度は米坂線沿いの西縁から東部に向かって深くなり、米沢盆地中央部で200m以上と推定している。舘山地区で基盤深度はGL−100〜150m程度と推定される。基盤構造を明確にするためには深度200m程度を探査深度とする必要がある。浅層反射法探査において、ピック間隔5mで測線長が1000mであれば上記の探査深度を満足できると判断される。探査震源は、P波によるスイープ式震源が妥当である。測線長が長いことから測線は、西米沢駅の南から第三中学校へ延びる道路に設定するのが適当であると考える。また、断層変位が明瞭な地点において、地質情報を得るためにボーリング調査を実施する。

ボーリングは断層による変位量を推定するためおよび反射断面との対比を行うため、断層を挟んで2本とし、深度はやや深めの情報を得るため各30mとする。

さらに、南部地域では段丘面の形成年代に関する情報が少なく、最終活動時期や平均変位速度を推定するのが困難である。そこで今回、明瞭な変位地形を挟んで上盤側、下盤側各1地点を行い(YL4面:舘山No.5,6、YL3面:舘山No.7,8)、変位している地形面の形成年代を特定する。また、変位の認められないYL4面の年代を特定し、最終活動時期を特定するために2地点(舘山No.9,10)行う。調査地はいずれも礫層を主体としていると考えられ、また年代測定用試料採取を主な目的としているので、各ボーリング深度は2mとする。ただし詳細なボーリング調査地点は、地表踏査(精査)により地形や地質を検討した上で決定する。

米沢市舘山地区調査計画図(図6−5−7

米沢市舘山地区地形断面図(図6−5−8