5−3 断層の活動性

活断層の活動履歴や活動度を推定するために、変位地形が明瞭に現れている地区を抽出し、必要に応じて以下の調査を行った。まずより詳細な地表踏査を実施し、地形面を細分した上で、どの地形面にどのような変位地形が認められるかを確認した。さらに沖積面やL4面といった新期の地形面に変位を与えている箇所については、地形断面図の作成を行い、変形の位置、形態を把握するとともに、その比高から変位量を推定した。このような結果と地形面の形成年代から、各地域あるいは各セグメントにおける最終活動時期、平均変位速度や活動間隔を推定した。

推定方法は、以下の手順で行った。なお各地域ごとに検討した結果は以下に述べるとともに、表5−3−1にまとめる。

<推定方法>

・最終活動時期

変位が認められる地形面の形成年代以降、変位が認められない地形面が形成するまでの間とする。

地形面の形成年代は、構成する地層中に含まれる木片等の年代値で近似した。

・平均変位速度

地形面における断層の変位量をその地形面の形成年代で除して推定する。

断層の変位量は、地形測量や地表踏査で認められた段差から、原地形の傾斜や断層の変形様式などを考慮して推定した。また、低位段丘面では平均変位速度を算出する際に、誤差が大きくなる可能性があるので、基本的に中位段丘面、高位段丘面を対象とした。

・活動間隔

活動間隔を推定するためには、現在までの断層活動の履歴をさかのぼってそれぞれの時期を特定する必要がある。

ただし今回の地表踏査やボーリング調査だけでは、過去の活動を正確に特定することが困難であるため、いずれの地区でも詳細な活動間隔は不明である。

表5−3−1 各地域ごとの断層活動性一覧表