ｔｉｔｌｅ

５－３－３　南部地域（川西町～米沢市）
３－１）川西町箕の輪～米沢市遠山地区

ⅰ）最終活動時期

川西町箕の輪から下小松地区にかけて、ＹＬ３面に１～２ｍの断層崖が認められる。

ＹＬ４面や沖積面には変位地形が認められない。

米沢市吹屋敷～遠山地区では、ＹＬ４面に１．０～２．０ｍの段差が２列認められる。したがって最終活動時期はＹＬ４面形成後である。ただし、同じＹＬ４面でも鬼面川に近い部分では変位地形が認められない。これは、単純に断層変位地形がないためであるとも考えられるが、ＹＬ４面のなかでも形成年代に違いがあり断層運動を挟んでＹＬ４面の形成が行われた可能性も考えられる。

ちなみに遠山地区で実施したボーリング調査から、ＹＬ４面堆積物から３０００～６０００年前の年代値が得られた。

ⅱ）平均変位速度

この地域はＹＭ面以上の段丘面の分布が断片的かつ小規模であり、これらの地形面から断層運動の変位量を推定することは困難である。

川西町箕の輪～下小松地区では、低位段丘面の形成年代を特定する資料がないため、不明である。ただし、この地域のＹＬ３面に現れる段差は、他地域におけるＬ３面の段差に比べ、１／２～２／３と小さいため、平均変位速度が小さい可能性がある。

川西町下小松では、ＹＬ２面に段差４ｍの撓曲崖が認められる。また米沢市遠山地区で実施したボーリング調査や地形測量調査の結果から、この地区のＹＬ２面は断層による変位をうけており、上盤側と下盤側の高度差は約７ｍである（図５－３－６）。以上よりこのＹＬ２面の変位量を４～７ｍとみなし、ボーリング調査で得られた堆積物の年代（約２４，０００年前）を地形面の形成年代とすると、約０．１７～０．２９ｍ／１０００ｙという値が導かれる。

ⅲ）活動間隔

変位量や地形面の形成年代に関する情報が少ないため、詳細な議論は不可能である。地表踏査やボーリング調査から、ＹＬ２面の変位地形の段差は４～７ｍであり、ＹＬ３、ＹＬ４面では２ｍ以下である。これらより、ＹＬ２面は少なくとも２回の断層活動を保存していると考えられる。

図５－３－６ボーリング地質解析図（米沢市遠山地区）

３－２）川西町上奥田～大船上地区

ⅰ）最終活動時期

ＹＬ３面に１～２ｍの断層崖が認められる。ＹＬ４面や沖積面には変位地形が認められない。

したがって、最終活動時期は、ＹＬ３面形成後でＹＬ４面形成前ということになる。

黒川流域では、ＹＬ３、ＹＬ４面をはじめとした段丘面の形成年代が不明である。

ⅱ）平均変位速度

低位段丘面の形成年代を特定する資料がないため、不明である。

地形面の対比が不十分なため単純な比較は難しいが、この地域のＹＬ３面に現れる段差は、他地域におけるＹＬ３面の段差に比べ、１／２～２／３と小さい。

ⅲ）活動間隔

平均変位速度同様、低位段丘面の形成年代を特定する資料がないため、不明である。

３－３）川西町逆沢～米沢市大代原地区

ⅰ）最終活動時期

ＹＬ２面に撓曲崖が認められる。その延長方向のＹＬ４面には、断層変位地形は認められない。

したがって最終活動時期は、ＹＬ２面形成後、ＹＬ４面形成前である。

ⅱ）平均変位速度

変位量および低位段丘面の形成年代を特定する資料がないため、不明である。

ⅲ）活動間隔

平均変位速度同様、低位段丘面の形成年代を特定する資料がないため、不明である。