5−2−2 中部地域(白鷹町南部〜長井市〜飯豊町)

中部地域では、山沿いに高位段丘面群や中位段丘面が断片的に分布し、NL4面が広く分布している。NL4面には西側山地より流出する河川による扇状地面が重なる。これらの地形面には、西側が上がるセンスの断層変位地形が認められる。長井盆地南西部では、南北方向に比較的よく連続し、南端で北西−南東方向と北北東−南南西方向の断層に分岐するように見える。一方、長井盆地中西部では北北東−南南西方向の1〜2kmと短い変位地形が雁行状に配列し、高位段丘面群および中位段丘面が大きく撓曲する。

長井盆地北西部では変位地形が認められなくなる。

以上で述べたように、中部地域では北側と南側で形態等に違いが認められるものの、約17kmにわたってゆるく西に湾曲した形で断層変位地形が分布する。また長井市勧進代地区より北側では変位地形が不明瞭となるが、新期の堆積物により変位地形が覆われているためであると考えられる。地形面の形成年代等の資料が少ないため断層活動単位の評価は難しいが、長井盆地の北端から南端までの約24kmを、便宜的に単一のセグメントとして取り扱うこととする。その理由は、断層運動の影響を受けて生じたと考えられる山地と平野の境界にあたること、リニアメントが不明瞭な北部を除いてすべての地区でNL4面および沖積面という比較的新しい地形面に変位が認められること、および南端部を除いてセグメントの末端を示唆するようなリニアメントの分岐や変位量の減少が確認されなかったからである。また、朝日町赤釜・松程付近の断層変位地形とは変位地形の形態やセンスが異なるため、北部地域まで連続する一連の断層帯ではないと考えられる。また米沢盆地周辺の断層群との関係も必ずしも明確ではないが、長井盆地西縁部の断層群は、南端付近で分岐するように見える。現在までの調査結果からは、方向、位置の関係などから一連の断層帯でないと考えられる。