図4−3−1に各変位基準面の変位量を示した。トレンチ壁面で計測されるyoV層の上下変位量は約2mである。yoV層下面の傾きはトレンチ西端及び東端でほぼ水平に近くなることから、これがこの地点での伏在断層の単位変位量を近似的に示しているものと考えられる。その下位の約8,000年の時間面を示すと考えられるyoX層上面についてはトレンチ内部で少なくとも4mの上下変位量が認められる。これも2回分の累積変位量と見なせば単位変位量は約2mとなる。
これより下位については、ボーリングや反射法探査結果を参考にして、約10,000年前の時間面と考えられる礫層上面の深度をみると、約10mの変位量が推定される。ただしこれは背斜の頂部との比高であるので、伏在断層の変位量としては過大な値を示している可能性がある。したがって本地点の平均変位速度は1.0m以下/1,000年と推定される。
AトレンチA(スキー場)地点
図4−3−2に各変位基準面の変位量を示した。yoV層の上面に推定断層を挟んで約1.5mの高度差が生じており、これがこの地点での単位変位量を示す可能性が高いと考えられる。その下位の約7,000年の時間面を示すと考えられるyoV層下面については約3.5mの高度差が生じており、これが2回分の累積変位量とすれば上の単位変位量とオーダーとしては等しい。また、この時の平均変位速度は約0.5m/1,000年となる。