(2)変位量及び変位速度の検討

図4−1−2に各変位基準面の変位量を示した。

最新活動に関係した変位基準面をkiV層上面(約3,000年前)と考えると、その変位量は約2mとなり、これが単位変位量と考えることができる。またそれ以前のkiW層上面(約5,000年前)については少なくとも約7mの変位が生じており、単純に年代で割れば平均変位速度は約1.4m/1,000年となる。また、約4万年前の時間面と考えられるkiZ層下面の深度差は調査地内においては約30m程度であり、平均変位速度は約0.8m/1,000年となる。ただし地層は調査地以西でもさらに西に緩傾斜すると予想されるので、実際の値はこれを上回ると予想される。

なお、この値は観音寺断層に沿う幅数十mの撓曲帯の上下変位量であり、反射法探査で確認された同断層東側の逆断層(図2−1−1参照)の実変位量はこれを上回る可能性も否定できない。