里集落地点のトレンチ壁面には東側に15°〜5°程度で傾斜する有機質粘土層と砂層の互層が見られる。地層の傾斜は上位ほど緩くなり、変動の累積を示唆している。本地点でボーリングにより確認された地層はyoT〜yo\の9層に大きく区分され、顕著な腐植質粘土層が6層挟在される。これらのうちトレンチではyo[層までが観察される。また、スキー場地点にはyoT〜yoW及びyo\層が分布する。
本地区においては断層そのものを確認することはできず、伏在する断層の活動に起因する地層の変形や傾斜不整合が確認された。このため断層活動時期や変位量については、これら地層の変形状況から間接的に推定することになる。その手がかりとなる各地点の地質構造の状況は以下のようである。
@里集落地点
最上位のyoT層(約1,500年前)の傾斜はトレンチ中央部で3〜5°トレンチ東端部で約0°であるのに対し、下位のyoV層(約5,000年前)の傾斜は約6〜7°とやや急になっている。さらにその下位のyoX層(約8,300年前)の傾斜は約10〜13°と明瞭に異なっている。
yoY層(約9,200年前)の傾斜は11〜12°、その下位のyo[層(約9,200年前)の傾斜は13〜14°と数値的には大きな差はみられないが、yoY層と yo[層の間に挟まれるyoZ層の層厚がトレンチ西端で約30cmであるのに対し、トレンチ中央付近のボーリングNo.6においては約80cmと厚くなっている。
以上のことから、本地点においてはyoT層とyoV層の間にやや明瞭な傾斜不整合、yoV層とyoX層の間に明瞭な傾斜不整合が認められ、yoY層と yo[層に不確実ではあるが軽微な傾斜不整合の存在が推定される。
Aスキー場地点
下盤側で約1.5mの厚さを持つyoU−2層が上盤側ボーリング(No.2)には分布しないことから、yoU層準(約4,000〜5,000年前)に不整合が推定される。また、下盤側で約2.5mの厚さを持つyoW層が、上盤側では約1mと薄くなることから、yoW層準(約7,000年前以前)に不整合が推定される。
表3−4−3層序表