3−1−4 調査結果

調査結果を表3−1−1層序表、図3−1−4ジオスライサー断面図、図3−1−5地質断面図に示す。全体的に細粒砂やシルト・粘土層などの細粒層が卓越しており、地層は西に傾斜している。No.9地点以西には深度5m付近までの間に、粗粒砂、礫及び多量の木片や埋もれ木を含む粗粒堆積物が卓越し、下位の粘土層を大きく削り込むようにして堆積している。鈴木・他(1989)のトレンチ調査によれば、No.18〜No.20地点付近の本堆積物中に2条の断層(F1・F2)の存在が認められているが、ジオスライサー試料中には断層またはそれに類するせん断面を確認できなかった。ただし同論文にも記載されている東傾斜のラミネーションは随所に観察された。

東側のNo.1〜No.7の下部には褐色に酸化した固い粘土層(後述のkiZ層)や砂層(同ki[層)が見られ、これらは層相及び年代値(約4万年より古い)から更新統と判断される。これより上位の地層は約7,000年より新しい地層で完新統である。これらの地層を層相及び14C年代によりkiT〜ki[の8層に区分した。年代値を見ると約8,000年前から3,000年前の地層がほぼ連続して堆積していることがわかる。

各層の特徴を以下に述べる。

1)kiT層…粘性土(一部有機質)主体で上部は旧耕作土を含む。

2)kiU層…粗粒堆積物の卓越する層である。上半部は比較的淘汰の良いラミネーションの発達した砂層で、下半部はペブル大の礫を含む砂礫層である。上方細粒化がみられる。特にNo.10〜No.17間はこの砂礫層の発達が著しく、下位層を大きく削り込んで厚く堆積している。また埋もれ木を多量に含んでいる。14C年代は約3,000年前である。

3)kiV層…礫混じり粘土層または砂層にはじまり有機質粘土層に終わる一つの堆積サイクルを示す層である。山側では礫混じり粘土層主体、平野側では均質なシルト〜粘土層が主体となる。14C年代は約3,000〜4,000年前である。

4)kiW層…礫混じり粘土層または砂層にはじまり有機質粘土層に終わる一つの堆積サイクルを示す層である。山側ほど礫の含有量が多くなる。14C年代は約5,000〜6,000年前である(No.1の4210±60年の値は本層かkiV層かはっきりしない)。

5) kiX層…礫混じり粘土層または砂層にはじまり有機質粘土層に終わる一つの堆積サイクルを示す層である。kiV層、kiW層と同じく山側ほど礫の含有量が多くなる。14C年代は約6,200〜7,000年前である。

6)kiY層…礫混じり粘土層及び砂層を主体とする。褐色に酸化した層である。14C年代は約8,000年前である。

7)kiZ層…均質な灰白色の粘土層である。14C年代は約35,000〜40,000年前である。

8)ki[層…比較的淘汰がよくラミネーションの発達した砂層からなる。褐色に酸化している。14C年代は約40,000年以前である。

表3−1−1層序表(酒田市北境地区)