大石田町の調査方針でも述べたように、山形盆地北部地域(寒河江川以北)では、活断層線は雁行・並列しており、これらすべてに対してトレンチ調査を実施し、各断層の最終活動時期や活動間隔を明らかにする作業は非常に困難である。しかし、河北町箕輪−根際地区では大石田横山地区と同様に断層はほぼ1条に収斂しており、これらの活動履歴の代表値を求めるための条件は比較的良いと考えられる。また、この地区では寒河江川の形成する扇状地の後背地にあたり、特に完新世には大きな河川の流入がさほどなかったことが期待できることから、調査地として選定した。
この地区の場合、調査候補地とした地点が沖積低地にあり、断層は山地と低地の境界からやや前縁部に出現する可能性がある。このため、断層の上盤・下盤とも沖積層などによって構成されていると考えられるため正確に断層位置を選定し、断層履歴の情報をより詳細に求めるためにはボーリング調査を実施し、ここで観察される地層の対比や年代測定による基準面の高度差を明らかにしてからトレンチ調査を実施すべきと考えた。トレンチ調査は沖積面上に発達した低断層崖を挟んで行う計画とした。
また、この地域では大石田町横山地区と同様に鮮新世〜更新世の地層の急傾斜や逆転などが確認され、下部構造については明らかにされるところが多いが、更新世後期の断層活動についての情報が不足しており、これらを対象とした踏査(精査)と段丘面の高度分布を主体とした測量を実施することとした。
調査地点を図2−3−4に示した(基図は平成9年度作成のストリップマップを用いた)。