仮に松山断層とこの地域のリニアメントが連動して活動するとすれば、断層の延長距離は少なくとも20kmは連続することになり、発生し得る地震規模の想定を再検討する必要もある。
トレンチ調査は、No.2孔を含みここからNo.3孔の間に深度約4〜5mで実施する。この際、基盤岩となる凝灰質泥岩と低位段丘T面堆積物相当層が出現した場合には、これ以上の深度を掘削しても断層の活動履歴を明らかにする材料を求められないことから掘削を止め、現況で現れた地層の連続や傾斜に関する情報を得るため、トレンチを側方向(特に東西方向)に拡張する。
地層対比の結果から想定された断層fcについては、図5−4−2に示した断面の延長では人工改変と構造物の存在のためトレンチ掘削がほぼ不可能である。従って、この断層の活動履歴を明らかにするためには、この断層の延長上における調査が必要となる。
この断層の北部延長は断層が分岐もしくは屈曲する可能性が高く、調査位置の決定に不確定要素が多い。このため、調査位置は断層の南部延長とすることが望ましい。図5−4−3に示した断層延長部では、断層の位置と水路位置がほとんど一致しており断層を完全に横断するトレンチ調査を実施することは困難である。従って、この位置では、水路東側と西側の2箇所において調査を実施し、ここに出現する地層の対比・年代測定を行い、斜交層順の存在や高度差などから活動履歴を検討すべきである。
調査手法および解析の方法としては、平成10年度調査で実施した山辺町大寺地区トレンチB−2),B−3)で行った手法と同様とし、地層状況によって、これに簡易ボーリングやハンドオーガーなどを使用したコア採取を加える。