トレンチ掘削は図5−2−2および図5−2−3に示した地点で行う。この地点では、約3,000年前の地層と5,000〜7,000年前の地層が斜交関係をもつことを確認し、その厳密な層準の確認を行う。ただし、このボーリング地点No.1孔とNo.2孔の間における地層の高度差がずれを伴う断層運動によって生じた可能性もあり、掘削時には十分な注意と的確な判断が必要になる。
No.1孔とNo.2孔間の地層の高度差についてその原因が明らかになった後、約3,000年前の地層とより上位の地層の関係を明らかにする必要がある。この時、地層の高度差がずれを伴う断層によって生じており、この断層が約3,000年の地層を切っている場合、断層の活動履歴のうち確認できる最終活動は、鈴木、他(1994)と同様である可能性が高い。
ずれを伴う断層面が確認されない場合には各地層ごとの傾斜と堆積時の傾斜を検討しこの傾斜の相違を個々に観察する。この時、約5,000〜7,000年前の地層では基底部と堆積頂面では、ボーリング結果から明らかな傾斜の差が認められており、この間の傾斜変化および各地層の関係は詳細に観察を行う。
次に、約3,000年前の地層と下位の地層との関係についても同様の観察・検討を行うためにトレンチの形状・規模・長さは求めるべき情報に留意して随時検討する。ここから得られる情報、得に地層傾斜の変化をボーリング資料と比較検討し活動履歴の解析を行う。