5−2−1 トレンチ調査

酒田市北境地区は、平成9年度に浅層反射法探査を実施した酒田市生石地区の2km北に位置する。また、この地区では鈴木、他(1989)によってトレンチ調査が実施され、鈴木、他(1994)ではこのトレンチ調査実施地点付近で2地点のボーリング調査がなされ、これらから地震再来間隔の検討が行われ、断層の最終活動時期が約2,500年前以降に起ったとしている。しかし、これらの調査では断層活動による変位は断層面沿いのずれによって起っているとしている。

平成9年度実施の反射法探査で明らかにされた地質状況から庄内平野東縁断層帯のうち特に観音寺断層では、鮮新世〜更新世の地層が極めて厚いために断層活動が大きな幅の撓曲変形として現れ、断層面はこの歪みを解消する部分で発生している可能性が高いと考えられる。従って、完新世の活動もこの撓曲変形を反映していると考えるべきであり、この撓曲変形から、断層活動の履歴を明らかにする必要がある。