(2)No.2(20m)

No.2孔は空中写真判読によるリニアメントから断層想定位置に最も近い上盤側において実施した。この地点では基盤岩の出現とこの下位に砂礫層などの完新世の堆積物を確認することにより断層の地表到達地点を詳細に検討することを目的とした。調査深度は計画時には30mとしたが、掘削中に断層が確認されかつ砂礫層の下位の基盤岩の出現を確認したため深度20mで掘り止めとし、未掘削の数量はNo.3孔を増掘するものとした。

<地層記載>

No.2孔では表層から0.20mまでが耕作土となっておりこの下位深度0.45mまでも礫や植物根などが不淘汰に含まれる盛土もしくは水田土壌となっている。深度0.45〜1.30mまでには暗褐色の腐植質シルトが見られ、細礫が点在する。深度1.30〜3.95mにはコア欠落部を除いてほぼ一連の暗灰色シルトが連続する。このシルト層は極めて軟質であり同色のシルト岩細礫が点在している。深度3.74〜3.80mには腐植質シルトの薄層が挟まれる。

深度3.95〜4.70mには礫層となっているがこの礫層を構成するのは全てシルト岩の円礫となっておりマトリックスも同色のシルトとなっている。深度4.70〜7.10mは暗灰色から灰色の角礫状のシルト岩礫が連続し風化部分もしくはマトリックスは同色のシルトとなっており、深度6.50m付近には安山岩の角礫が見られる。

このシルト層の直下には層厚4cmのガラス質白色細粒火山灰が確認された。深度7.14〜8.75mには火山灰層の上位と同様の灰色シルト岩角礫が見られるが、深度7.14〜7.52mには安山岩や黒色頁岩、石英班岩などの円礫が含まれる。

深度8.75〜10.50mは青灰色の細〜粗粒砂で9.34〜9.56mと9.68〜9.80mには礫が見られる。これらの礫はシルト岩の円磨されたものがほとんどである。深度10.10〜10.18mには腐植質シルト層が見られ、この上下の砂層中にも炭化物が含まれる。深度10.50〜14.50mにはマトリックスがシルトの礫層と暗灰褐色の凝灰質泥岩の繰り返しが観察された。ここで見られる礫は円〜亜角礫で礫径も比較的大きく礫種も多岐にわたる。深度14.50以下には暗灰褐色の凝灰質泥岩が深度20.00mまで連続している。

No.2孔では表層の堆積物の年代を明らかにするために深度1.2mの腐植層から1,460±80y.B.P.の年代値が得られた。また、断層によって切られる礫層の時期を特定するために、深度10.1m付近の腐植層の年代を測定し30,450±1,150y.B.P.の年代値が得られた。