活断層の位置については従来の報告と大きな差は認められないが、観音寺断層に代表される北部区間は、現在も成長を続ける背斜構造の西翼に位置し、これらの断層活動は地下深部の基盤岩に見られる断層と直接連続していない可能性が考えられる。また、この断層帯ではやや幅の広い変形帯が存在する可能性がある。
・活動性
北部・南部ともに平均変位速度は0.1〜1.0m/1,000年の範疇であり活動度はB級とされている。最終活動時期は既存の報告により北部区間で2,500年前以降であり、南部区間では約8,000年〜7,000年前であるとされている。
・延長距離
北部区間は少なくとも約20km程度は連続する可能性があり、南部区間は南部延長が明瞭ではないが約20km程度の長さが考えられる。この2区間が連動して活動する場合約40km以上の長さを持つことになる。
・検討課題
この地域では断層帯の北部区間と南部区間の各々の活動性,活動履歴を比較検討し、40kmの区間が一度に活動する可能性についての検討が重要となる。しかし、断層活動による変形はやや幅が広く、複数の断層面が地表に到達している可能性も考えられるためトレンチ調査実施についてはボーリング調査・反射法探査などによって適正位置を充分に検討する必要がある。