2−4 反射法探査結果概要

庄内平野東縁断層帯では、既存のトレンチ調査などで指摘された断層の存在とこれらの断層面の地表到達位置を明らかにし、従来報告された活動履歴をこの断層帯の代表値として扱うことが可能であるかを検討するために実施した。また、断層の上盤側と下盤側に共通して分布する地層の高度差から断層の累積変位を求めることを目的とした。

測定を行った地域は酒田市横代地区から生石地区で観音寺断層を横断し、矢流川沿いに東に向かう測線とした。この地域では鮮新世〜更新世の地層が極めて厚いことが予測されたため探査深度は1〜2km程度を想定した。発震源はミニバイブロサイスとし受振点間隔・発震点間隔を10mとし、チャンネル数120、標準重合数60として測定を実施した。

探査結果を周辺地質状況や坑井データを参考して解析したものが図2−4−1である。この断面図からは、観音寺断層が基盤岩(青沢層)の上昇を単純に反映して形成されたものとすることはできず、鮮新世〜更新世の地層が大きく褶曲したために、最も大きな屈曲を示す西側部分現れた不連続面に観音寺断層が対応している可能性が考えられる。また、背斜構造の東側にも西傾斜の不連続面が観察されるが、これらの不連続面は深度300〜800m程度までしか確認されない。

これらの不連続面沿いの地層のずれ量は極めて小さいが、庄内層群中の火砕岩の高度差は350〜400mに達する。これに対して基盤岩となる青沢層の上面は緩やかな東傾斜を示すものであり、上部の堆積物の示す褶曲構造や不連続面などの構造は確認されず、探査測線の範囲では青沢層は断層活動あるいは構造運動には関与しておらず、青沢層とより上位の堆積物との間に大きな不連続(断層)を想定することができる。

この地域の東側には酒田衝上断層群が位置しており、この断層の活動が反射断面に見られる第四紀層の大きな変形に関与する可能性も考えられる。従って庄内平野東縁断層帯の活動履歴を明らかにするためには、観音寺断層だけでなく酒田衝上断層に直結する可能性のある松山断層や最上川以南の断層についての総合的調査が必要となる。