(2)ボーリング調査

この地域では、活断層によると判断される変位地形(崖地形)が明瞭かつ連続良く観察される。しかし、同時に扇状地などによる堆積作用が完新世まで続いた地域でもあるため、周辺地域に断層および地質分布・構造の詳細については露頭観察だけでは明らかにすることができない。

従って、トレンチ調査位置を最終的に決定するためにはボーリング調査を断層横断方向に数本実施して、地層の変化や対比される地層の高度差を詳細に検討しなければならない。山形市村木沢周辺の地質状況から判断すると山形盆地西縁部では最も東側のリニアメント付近まで第三紀層が地表近くまで達していることが明らかとなっている。また、段丘堆積物の層厚は低位段丘U面では数mであり、この下位に低位段丘T面の堆積物があった場合でも層厚は10m前後と見積もられる。

そこで、断層上盤側で20m深度のボーリングを実施し堆積物の厚さを求めるとともに、堆積物が薄い場合にはボーリング調査で断層面の確認を行う。また、より前縁部でのボーリング調査によって断層面が確認されれば、2地点間から断層の傾斜が求められトレンチ調査実施の位置を確定することができる。

上記の場合で、前縁部のボーリング深度は10mで断層面に到達すると考えられるが、断層面が更新世後期の地層に達している場合には、より前縁(断層下盤側)とのボーリング調査結果との地層の比較検討から、断層の到達位置を検討する。

山形盆地北部や庄内平野での断層活動から断層下盤側でも地層の変形がおこっている可能性が考えられる。このことは、断層の単位変位量を求める場合、断層下盤における地層の変形から変位量の検討をおこなうことが必要であり、このための資料として下盤側の最前縁部においてもボーリングを計画した。これらの掘削深度はボーリング地点間の対比検討を行うためのものであることから、一律10mの掘削によって調査目的は達成されるものと考えられる。

図8−2−9