8−6−3 立川町山崎地区

1)ボーリング調査における掘削深度

この地点での調査目的は、松山断層(澤、他:1997)で確認された断層の最終活動時期と最上川以南の活動の対比を行うことにある。ただし、この地点では従来第四紀後期の活動を示す根拠は示されていないため、ボーリング調査によって断層の位置確定(トレンチ調査の位置決定)をも含めた地点設定が必要になる。

空中写真の判読では、図8−2−6に示した崖地形の連続が観察される。しかし、より高位の段丘面には西に緩やかに傾く撓曲も観察されることから、この地域における断層活動も最上川以北と同様に低角の逆断層である可能性が高く、複数のボーリングで断層面を捕らえることにより、断層面の地表部への到達位置をある程度限定でき得るものと考えられる。

この場合最も南東側(山側)の地点では、表層部で薄い沖積層を確認し基盤岩を貫いて断層面に到達する地点とした、断層面到達深度は15m程度と予測し掘削深度を20mとした。しかし、この地域における断層の存在には不確定要素があるため、より北西側の掘削深度30m地点のみで断層に到達する可能性もある。

この2地点において断層面に到達できた場合には、断層の傾斜がほぼ確定されるため、ここから断層活動を詳細に読み取るためのトレンチ調査候補地を決定することができる。また、30m地点のみで断層到達した場合にはより北西側の40m掘削地点との間がトレンチ調査候補位置として検討される。

40m掘削地点、50m掘削地点の深度は、やや南に位置する基礎試錐資料や、他のボーリング資料から、この地域の沖積層の厚さが50m程度であることから設定した。

これらのボーリングは、トレンチ調査の実施位置検討のために活用するだけでなく、断層を挟んだ地域の地層変形を明らかにすることで、完新世もしくは更新世後期の変位量を庄内平野東縁断層北部と比較し、これらの断層帯が一連の活動を起し得るかを検討する資料とする。